中古車を購入する際、多くの人が気にするのが走行距離です。「走行距離が短い方が良い」という考えが一般的ですが、実際のところ走行距離の長い車を選ぶことにもメリットがあります。本記事では、中古車購入における走行距離の重要性や、走行距離が長い車を選ぶ際の注意点、そしてそのメリットとデメリットについて詳しく解説します。走行距離が気になって中古車選びに悩んでいる方や、予算の都合で走行距離の長い車を検討している方にとって、有益な情報となるでしょう。
中古車購入における走行距離の重要性
走行距離の基準と車の状態の関係
中古車を選ぶ際、走行距離は車の状態を推測する重要な指標の一つです。一般的に、年間走行距離の目安は1万キロとされています。例えば、5年落ちの車であれば、走行距離が5万キロ前後であれば平均的な使用状況と言えるでしょう。
しかし、走行距離が短ければ短いほど良いというわけではありません。車は適度に使用され、定期的にメンテナンスを受けることで良好な状態を保つことができます。逆に、使用頻度が極端に少ない車は、エンジンや各部品の劣化が進んでいる可能性があります。
年式と走行距離のバランス
中古車を選ぶ際は、年式と走行距離のバランスを考慮することが重要です。例えば、10年落ちの車で走行距離が3万キロというのは、年間平均走行距離が3,000キロと極端に少ないことになります。このような車は、長期間使用されずに放置されていた可能性があり、各部品の劣化が進んでいる可能性があります。
一方で、5年落ちで走行距離が10万キロの車は、年間平均走行距離が2万キロと多めですが、定期的に使用されメンテナンスを受けていれば、むしろ良好な状態を保っている可能性があります。
走行距離が長い中古車を購入するメリット
価格の安さ
走行距離が長い中古車の最大のメリットは、価格の安さです。一般的に、同じ年式・グレードの車であれば、走行距離が長いほど価格は安くなります。例えば、5年落ちの人気車種で、走行距離5万キロの車と10万キロの車を比較すると、後者は50万円程度安くなることもあります。予算に制限がある場合、走行距離の長い車を選ぶことで、より上位グレードや人気車種を手に入れることができる可能性があります。
高級車や人気車種の入手可能性
走行距離の長い車を選ぶことで、通常では手が届かないような高級車や人気車種を購入できる可能性が高まります。例えば、新車価格が1,000万円を超えるような高級車でも、10万キロ以上走行していれば、数百万円で購入できることがあります。このように、走行距離の長い車を選ぶことで、夢の車を手に入れるチャンスが広がります。
走行テスト済みの信頼性
走行距離が長い車は、既に多くの走行テストを経ているとも言えます。10万キロ以上走っている車は、重大な故障や問題がなければそこまで走行できなかったはずです。つまり、走行距離の長い車は、ある意味で信頼性が実証されていると考えることができます。もちろん、これはあくまで一般論であり、個々の車の状態や整備状況によって大きく異なることには注意が必要です。
走行距離が長い中古車を購入するデメリット
故障リスクの増加
走行距離が長くなるほど、車の各部品は摩耗し、故障のリスクは高まります。特に10万キロを超えると、エンジンやトランスミッションなどの主要部品に負担がかかり、大規模な修理が必要になる可能性が高くなります。例えば、タイミングベルトは一般的に10万キロ程度で交換が推奨されており、この交換を怠ると最悪の場合エンジン破損につながる可能性があります。
メンテナンス費用の上昇
走行距離が長い車は、定期的なメンテナンスに加えて、予期せぬ修理や部品交換が必要になる可能性が高くなります。例えば、15万キロを超える車では、ショックアブソーバーやブレーキパッド、クラッチなどの交換が必要になることが多く、これらの費用は数十万円に及ぶこともあります。購入時の価格は安くても、維持費が高くなる可能性があることを念頭に置く必要があります。
再販価値の低下
走行距離の長い車は、再販時の価値が大きく下がります。例えば、購入時に10万キロだった車を5万キロ走行して15万キロになった場合、その価値は購入時よりも大幅に下がっている可能性が高いです。特に20万キロを超えるような車は、買取業者が買取を拒否したり、廃車価格でしか買い取らないケースもあります。長期的な所有を考えている場合は、この点も考慮に入れる必要があります。
走行距離が長い中古車を購入する際の注意点
整備記録の確認
走行距離の長い車を購入する際は、整備記録の確認が極めて重要です。定期的なメンテナンスが行われているかどうかは、車の状態に大きく影響します。整備記録簿には、オイル交換や定期点検、部品交換などの履歴が記載されています。例えば、10万キロ走行時にタイミングベルトを交換しているかどうかなど、重要なメンテナンス項目がきちんと行われているかを確認しましょう。整備記録が不十分な車は、たとえ価格が安くても避けた方が良いでしょう。
車両状態の詳細チェック
走行距離の長い車を購入する際は、車両の状態を細かくチェックすることが重要です。外装や内装の状態はもちろん、エンジンの音やアイドリング状態、排気ガスの色、各種電装品の動作など、できる限り多くの項目をチェックしましょう。特に注意が必要なのは、エンジンオイルやトランスミッションオイルの漏れ、異音、振動などです。これらの症状は、大きな故障の前兆である可能性があります。素人目では分かりにくい部分もあるため、可能であれば信頼できる整備士や中古車専門家に同行してもらうことをおすすめします。
試乗の重要性
走行距離の長い車を購入する際は、必ず試乗を行いましょう。試乗では、エンジンの吹け上がりや加速感、ブレーキの効き具合、ハンドリングの安定性などをチェックします。また、高速道路での走行も可能であれば行い、高速走行時の安定性や振動、騒音なども確認します。例えば、ハンドルに振動が伝わる場合はタイヤのバランスが崩れている可能性があり、急ブレーキ時に車体が片側に引っ張られる場合はブレーキの不具合が考えられます。こうした症状は、実際に運転してみないと分からないことも多いため、試乗は非常に重要です。
保証・アフターサービスの確認
走行距離の長い中古車を購入する際は、販売店の提供する保証やアフターサービスの内容を必ず確認しましょう。一般的に、走行距離の長い車は保証期間が短かったり、保証対象外の部品が多かったりします。しかし、中には走行距離に関わらず充実した保証を提供する販売店もあります。例えば、エンジンやトランスミッションなどの主要部品に1年間の保証が付いているか、修理時の代車提供サービスがあるかなどを確認しましょう。また、購入後のメンテナンスサポートの有無も重要なポイントです。定期点検や消耗品交換などのサポートがあれば、長期的な維持費の抑制につながります。
走行距離別の中古車の特徴と注意点
3万km以下の中古車
3万km以下の中古車は、比較的新しく状態の良い車が多いです。エンジンや各部品の摩耗が少なく、故障のリスクも低いため、安心して購入できます。ただし、価格は高めになる傾向があります。また、極端に走行距離が少ない場合は、長期間使用されていない可能性があるため、バッテリーやタイヤの状態を確認する必要があります。
5万km前後の中古車
5万km前後の中古車は、価格と状態のバランスが取れている場合が多いです。一般的な使用状況であれば、まだ十分に使える状態ですが、一部の消耗品交換が必要になる可能性があります。特にブレーキパッドやタイヤの状態には注意が必要です。また、定期点検や整備の記録を確認し、適切なメンテナンスが行われてきたかどうかを確認することが重要です。
10万km超えの中古車
10万kmを超える中古車は、価格が比較的安くなりますが、故障のリスクが高くなります。エンジンやトランスミッションなどの主要部品が劣化している可能性が高いため、購入前に詳細な点検を行うことが不可欠です。特に、タイミングベルトの交換履歴や、エンジンオイルの状態を確認することが重要です。また、足回りの部品やサスペンションの状態にも注意が必要です。
15万km以上の中古車
15万km以上走行した中古車は、かなりの高走行距離車と言えます。価格は非常に安くなりますが、故障のリスクも高くなります。このような車を購入する場合は、過去の整備記録を詳細に確認し、主要部品の交換履歴や今後必要となるメンテナンスについて十分に理解しておく必要があります。また、購入後すぐに大規模な修理や部品交換が必要になる可能性も考慮に入れておくべきです。
走行距離以外に注目すべき中古車選びのポイント
年式と走行距離のバランス
中古車を選ぶ際は、年式と走行距離のバランスを考慮することが重要です。例えば、5年落ちの車で走行距離が3万kmの場合、年間平均走行距離は6,000kmとなり、一般的な使用状況よりも少ない走行距離と言えます。逆に、3年落ちで10万kmを超えている場合は、過度な使用が疑われます。年式と走行距離のバランスが取れている車を選ぶことで、より信頼性の高い中古車を見つけることができます。
メンテナンス状況
走行距離だけでなく、車のメンテナンス状況も重要な選択基準です。定期点検や整備の記録が残っている車は、適切な管理がされてきた可能性が高く、信頼性が高いと言えます。特に、高走行距離車の場合、メンテナンス履歴は車の状態を判断する上で非常に重要な情報となります。オイル交換やタイミングベルトの交換など、重要なメンテナンス項目が適切に行われているかを確認しましょう。
使用環境(都市部か地方か)
車の使用環境も、その状態に大きな影響を与えます。都市部で使用されていた車は、頻繁な発進停止や渋滞による負荷が大きいため、同じ走行距離でも地方で使用されていた車よりも摩耗が進んでいる可能性があります。一方、地方で使用されていた車は、長距離走行が多い傾向にあり、エンジンへの負荷は比較的少ないですが、高速走行による摩耗もあります。購入を検討している車の使用環境を確認し、それに応じた点検を行うことが重要です。
前オーナーの使用状況
可能であれば、前オーナーの使用状況についても情報を得ることが有益です。例えば、業務用として使用されていたか、個人使用だったかによっても車の状態は大きく異なります。また、長距離通勤で使用されていたか、週末のみの使用だったかなども、車の状態に影響を与える要因となります。これらの情報は、車の実際の使用状況や負荷の度合いを推測する手がかりとなります。
走行距離の長い中古車でも安心して購入できる車種
信頼性の高いメーカーや車種
一般的に、トヨタ、ホンダ、日産などの日本メーカーの車は、高い信頼性と耐久性で知られています。特に、カローラやカムリ(トヨタ)、シビック(ホンダ)、ティアナ(日産)などのモデルは、高走行距離でも問題なく走り続けることで有名です。これらの車種は、適切なメンテナンスを行えば、15万km以上走行しても十分に使用可能な場合が多いです。
長距離走行に適した車種
長距離走行に適した車種としては、大型セダンや高級車が挙げられます。例えば、レクサスのLS、BMW 5シリーズ、メルセデス・ベンツのEクラスなどは、長距離走行を想定して設計されており、高走行距離でも快適な乗り心地を維持できる傾向があります。これらの車種は、エンジンやサスペンションなどの主要部品が高品質で耐久性に優れているため、適切なメンテナンスを行えば、高走行距離でも安心して乗ることができます。
走行距離の長い中古車購入後の対策
必要なメンテナンス項目
走行距離の長い中古車を購入した後は、以下のメンテナンス項目に特に注意を払う必要があります:
- エンジンオイルとオイルフィルターの交換
- トランスミッションフルードの交換
- ブレーキフルードの交換
- クーラント(冷却水)の交換
- エアフィルターの交換
- スパークプラグの交換
- タイミングベルト(またはチェーン)の点検と必要に応じた交換
- サスペンションの点検と必要に応じた交換
これらの項目を適切に管理することで、車の寿命を延ばし、安全性を維持することができます。
定期点検の重要性
高走行距離車の場合、定期点検の重要性はさらに高まります。通常の定期点検に加えて、より頻繁に車の状態をチェックすることをおすすめします。特に、エンジン音や振動、ハンドリング、ブレーキの効きなどに注意を払い、少しでも異常を感じたら早めに整備士に相談することが大切です。また、定期点検の際には、普段気づきにくい部分の劣化や摩耗もチェックしてもらいましょう。
部品交換の計画
高走行距離車では、今後必要となる部品交換を事前に計画しておくことが重要です。例えば、タイミングベルトやウォーターポンプなどの重要部品は、製造元が推奨する交換時期を参考に、計画的に交換を行うことをおすすめします。また、タイヤやブレーキパッドなどの消耗品も、定期的に状態をチェックし、適切なタイミングで交換することで、安全性を維持し、突然の故障を防ぐことができます。
まとめ
走行距離は中古車を選ぶ上で重要な判断基準の一つですが、それだけで車の状態や価値を決定づけることはできません。年式、メンテナンス履歴、使用環境、車種の特性など、総合的な観点から車を評価することが大切です。
走行距離が長い中古車でも、適切なメンテナンスが行われていれば、十分に使用可能な場合が多くあります。ただし、購入後のメンテナンスや部品交換にかかる費用も考慮に入れる必要があります。
中古車を選ぶ際は、自分のニーズや予算に合わせて、走行距離と他の要素のバランスを取りながら判断することが重要です。また、信頼できる販売店から購入し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることで、より安心して中古車を選ぶことができるでしょう。
適切な注意点を押さえ、十分な情報収集を行えば、走行距離の長い中古車でも良い選択肢となり得ます。自分に合った中古車を見つけ、長く安全に乗り続けられることを願っています。


