ダイハツのミライースは、軽自動車の中でも特に人気の高いモデルです。しかし、その低価格設定から「貧乏人の車」というレッテルを貼られることもあります。本当にそうなのでしょうか?今回は、ミライースが「貧乏人の車」と呼ばれる理由を深掘りし、その真の価値について考えていきます。
ミライースが「貧乏人の車」と言われる3つの理由
ミライースが「貧乏人の車」と呼ばれる背景には、いくつかの要因があります。ここでは、その主な理由を3つ挙げて詳しく見ていきましょう。
国産軽自動車の中で最安価格帯であること
ミライースの最大の特徴は、その手頃な価格設定です。新車価格を見てみると、エントリーグレードの「B」は2WDモデルで86万200円から購入可能です。これは、現在販売されている新車の中でも最安価格帯に位置しています。
価格比較表を見てみましょう。
車種 | グレード | 価格(円) |
---|---|---|
ミライース | B | 842,600 |
ミライース | X | 924,000 |
ミライース | L | 1,078,000 |
N-WGN | ベーシック | 1,289,300 |
アルト | L | 918,500 |
この表からわかるように、ミライースは同じ軽自動車カテゴリーの中でも特に安価な設定となっています。この価格の安さが、「貧乏人でも買える車」というイメージにつながっているのです。
シンプルな装備と乗り心地の問題
ミライースの内装や装備は、必要最低限のものに絞られています。高級車に見られるような豪華な内装や最新のインフォテインメントシステムは搭載されていません。また、エントリーグレードではパワーウィンドウやオートエアコンといった快適装備も省かれています。
このシンプルさは、コストダウンに貢献している一方で、「安っぽい」という印象を与えることもあります。特に、高級車に乗り慣れた人にとっては、その違いが顕著に感じられるでしょう。
乗り心地に関しても、サスペンションの設定や車体の軽さから、高速道路や荒れた路面では振動や騒音が気になることがあります。これらの要因が、「貧乏人の車」というレッテルを貼られる一因となっているのです。
パワー不足とエンジン音の大きさ
ミライースに搭載されているエンジンは、658ccの直列3気筒エンジンです。最高出力は52PS、最大トルクは60N・mと、軽自動車の規格内ではありますが、決して力強いとは言えません。
特に高速道路での走行や坂道での加速時には、パワー不足を感じることがあります。また、エンジン音も比較的大きく、静粛性という面では高級車に及びません。
これらの特性が、「安い車」「力不足の車」というイメージを強化し、結果として「貧乏人の車」という認識につながっているのです。
価格から見るミライースの実態
ミライースの価格設定は、確かに魅力的です。しかし、単に「安い」だけでなく、その内容をしっかりと見極める必要があります。ここでは、新車価格と維持費の観点から、ミライースの実態に迫ってみましょう。
新車価格の比較表
先ほども触れましたが、ミライースの新車価格は非常に競争力があります。改めて、同クラスの車種と比較してみましょう。
車種 | グレード | 価格(円) |
---|---|---|
ミライース | B | 842,600 |
ミライース | X | 924,000 |
ミライース | L | 1,078,000 |
N-WGN | ベーシック | 1,289,300 |
アルト | L | 918,500 |
この表から、ミライースが同クラスの中でも特に安価であることがわかります。しかし、価格だけでなく、各グレードの装備や性能も考慮に入れる必要があります。
例えば、ミライースの「X」グレードは、エントリーモデルの「B」に比べて約8万円高くなっていますが、LEDヘッドランプやオートエアコンなどの快適装備が追加されています。これらの装備を考慮すると、決して「安かろう悪かろう」ではないことがわかります。
維持費の実態
車を所有する上で重要なのは、購入時の価格だけでなく、維持費も含めたトータルコストです。ミライースの維持費を見てみましょう。
項目 | 年間費用(円) |
---|---|
自動車税 | 10,800 |
自賠責保険 | 約12,650 |
任意保険 | 約40,000〜 |
車検費用 | 約70,000(2年ごと) |
燃料費 | 約60,000 |
これらの費用を合計すると、年間の維持費は約15万円程度となります。普通車と比較すると、自動車税や保険料が安く設定されているため、維持費の面でも経済的であることがわかります。
特に燃料費に関しては、ミライースの優れた燃費性能が大きく貢献しています。WLTCモードで25.0km/L(2WDモデル)という燃費性能は、同クラスでもトップクラスです。
このように、ミライースは購入時の価格だけでなく、維持費の面でも経済的な選択肢となっています。「貧乏人の車」というレッテルは、むしろ「賢い消費者の車」と言い換えるべきかもしれません。
ミライースの実際の評価
ミライースに対する世間の評価は、必ずしも「貧乏人の車」という否定的なものばかりではありません。実際に使用しているオーナーや、自動車評論家からは、多くの肯定的な意見も聞かれます。ここでは、ミライースの実際の評価について、いくつかの観点から見ていきましょう。
燃費性能の高さ
ミライースの最大の魅力の一つは、その優れた燃費性能です。先ほども触れましたが、WLTCモードで25.0km/L(2WDモデル)という数値は、ガソリン車としては非常に優秀です。
実際の走行では、市街地や高速道路など、走行環境によって燃費は変動しますが、多くのユーザーが20km/L前後の実燃費を報告しています。これは、同クラスの他の車種と比較しても、トップクラスの燃費性能と言えるでしょう。
この高い燃費性能は、単に「安い車」というだけでなく、環境にも優しい選択肢としてミライースの評価を高めています。CO2排出量の削減に貢献する点も、現代の環境意識の高まりとマッチしていると言えるでしょう。
街乗りでの取り回しの良さ
ミライースのコンパクトなボディサイズは、街中での運転に大きな利点をもたらします。全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,500mmというサイズは、狭い道路や混雑した駐車場でも扱いやすく、初心者ドライバーにも優しい設計となっています。
特に、最小回転半径が4.4mという小回りの良さは、Uターンや縦列駐車の際に大きな助けとなります。この取り回しの良さは、日常的な使用シーンで高く評価されており、「街乗りに最適」という声が多く聞かれます。
また、軽量なボディ(車両重量は780kg〜810kg)は、ハンドル操作の軽さにも貢献しています。長時間の運転でも疲れにくいという点も、ユーザーから好評を得ています。
維持費の安さ
先ほど維持費の内訳を見ましたが、ミライースの維持費の安さは、多くのユーザーから高く評価されています。特に、自動車税や保険料が軽自動車ならではの低額設定になっている点は、家計に優しいポイントとして挙げられます。
また、燃費の良さは直接的に燃料費の節約につながります。例えば、年間1万km走行すると仮定した場合、燃費20km/Lのミライースと燃費15km/Lの普通車を比較すると、ガソリン価格150円/Lとして計算すると、年間で約25,000円の差が出ます。
さらに、シンプルな構造のため、故障のリスクが低く、修理費用も抑えられる傾向にあります。これらの要因が総合的に作用し、「維持費の安さ」という評価につながっているのです。
ミライースの欠点と対策
ミライースには多くの利点がありますが、同時にいくつかの欠点も指摘されています。ここでは、よく挙げられる欠点とその対策について考えてみましょう。
室内空間の狭さへの対応
ミライースの室内空間は、軽自動車の規格内に収まるよう設計されているため、必然的に狭くなります。特に、後部座席の居住性や荷室の広さに関しては、不満の声も聞かれます。
対策としては、シートアレンジの工夫が効果的です。後部座席を倒すことで、荷室スペースを拡大できます。必要に応じて、2人乗りモードと4人乗りモードを使い分けることで、限られたスペースを有効活用できます。
また、収納アイテムの活用も重要です。ドアポケットやセンターコンソールなど、車内の小さな収納スペースを効率的に使うことで、室内の整理整頓が可能です。市販の収納ボックスなどを活用するのも一案です。
長距離旅行など、多くの荷物を積む必要がある場合は、ルーフキャリアを取り付けることで積載量を増やすことができます。これらの工夫により、室内空間の狭さをある程度カバーすることが可能です。
乗り心地の改善方法
ミライースの乗り心地に関しては、特に高速道路や荒れた路面での振動や騒音が気になるという声があります。これは、軽量なボディと比較的硬めのサスペンション設定が原因です。
乗り心地を改善するためには、タイヤの選択が重要です。乗り心地重視のタイヤに交換することで、路面からの振動を軽減できます。低偏平率のタイヤよりも、ややサイドウォールの高いタイヤを選ぶと効果的です。
また、専門店でサスペンションの調整を行うことで、乗り心地を改善できる場合があります。ただし、過度の調整は車両の安全性に影響を与える可能性があるため、専門家に相談することをおすすめします。
さらに、ドアやフロアに防音材を追加することで、車内への騒音の侵入を軽減できます。DIYで行うこともできますが、専門店に依頼するのがより確実です。市販のシートクッションを使用することで、座り心地を改善し、振動の伝わりを軽減することも可能です。
これらの対策を組み合わせることで、乗り心地をある程度改善することができるでしょう。
パワー不足を感じさせない運転テクニック
ミライースのエンジンは、52PSという控えめな出力です。これは、燃費性能を重視した結果ですが、パワー不足を感じる場面もあります。しかし、適切な運転テクニックを身につけることで、この欠点をカバーすることができます。
早めのシフトアップが重要です。CVT(無段変速機)搭載車では、アクセルをゆっくり踏み込み、エンジン回転数を必要以上に上げないようにします。これにより、スムーズな加速が可能になります。
また、前方の交通状況の予測も大切です。遠くの信号や渋滞を早めに察知し、急な加速や減速を避けることで、パワー不足を感じにくくなります。特に坂道では、事前に加速しておくことで、登坂時のパワー不足を補うことができます。
さらに、エコモードの適切な使用も効果的です。燃費重視の走行が必要ない場合は、エコモードをオフにすることで、アクセルレスポンスが向上し、より力強い走りが可能になります。
これらのテクニックを実践することで、ミライースのパワー不足を最小限に抑え、快適な運転を楽しむことができるでしょう。
「貧乏人の車」という誤解を解く
「貧乏人の車」というレッテルは、ミライースの本質を正確に表しているとは言えません。ここでは、そのような誤解を解くための視点を提供します。
経済的選択と貧乏は別物
まず、「経済的な選択をする」ことと「貧乏である」ことは、全く別の概念です。経済的な選択とは、限られた資源(この場合はお金)を最も効率的に使うための判断です。一方、貧乏とは、単に経済的な余裕がない状態を指します。
ミライースを選ぶ人の中には、十分な資金があっても、あえて経済的な選択として軽自動車を選ぶ人も多くいます。例えば、都市部に住む単身者や、車を頻繁に使わない家庭などは、高額な車を購入するよりも、必要十分な機能を持つミライースを選ぶ方が合理的な場合があります。
また、複数台所有している家庭の「セカンドカー」としてミライースを選ぶケースも少なくありません。これは、「貧乏だから」ではなく、用途に合わせた賢い選択と言えるでしょう。
実用性を重視する賢い選択
ミライースの魅力は、その実用性にあります。コンパクトなサイズ、優れた燃費性能、低い維持費など、日常の足として必要な機能を過不足なく備えています。
特に、都市部での使用を考えると、駐車スペースの確保や狭い道路での取り回しなど、コンパクトカーならではのメリットが際立ちます。また、燃費の良さは、長距離通勤などでも経済的なメリットをもたらします。
このように、ミライースを選ぶことは、「貧乏だから」ではなく、「実用性を重視する賢い消費者」の選択と言えるのです。
ライフスタイルに合わせた車選び
車選びは、個人のライフスタイルや価値観に大きく左右されます。高級車や大型車が必要な人もいれば、コンパクトで経済的な車が最適な人もいます。
例えば、都市部に住み、主に近距離の移動に車を使う人にとっては、ミライースのようなコンパクトカーが最適かもしれません。一方、家族が多く、長距離ドライブを頻繁に行う人には、ミニバンやSUVが適しているでしょう。
また、環境への配慮から、CO2排出量の少ない車を選ぶ人も増えています。ミライースの優れた燃費性能は、そうした環境意識の高い人々にも支持されています。
このように、ミライースを選ぶことは、必ずしも経済的な理由だけではありません。自分のライフスタイルや価値観に合わせて、最適な車を選ぶという賢明な判断の結果なのです。
本当に「貧乏」な人がミライースに乗れない理由
ミライースは確かに経済的な車ですが、皮肉なことに、本当に経済的に苦しい人にとっては手が届かないこともあります。ここでは、なぜ「真の貧乏人」がミライースに乗れない場合があるのかを説明します。
購入時の頭金と初期費用の問題
新車や中古車を購入する際、多くの場合、頭金や諸費用が必要になります。ローンを組む場合でも、一定の頭金が求められることが多いです。本当に経済的に苦しい人にとっては、この初期費用の工面が難しいことがあります。
維持費の負担
車を所有すると、税金や保険料、定期点検費用などの維持費が必要になります。ミライースは比較的維持費が安い車ですが、それでも毎月の出費は避けられません。安定した収入がない場合、これらの費用を継続して支払うことが困難な場合があります。
予期せぬ修理費用
車の所有には、予期せぬ修理費用がつきものです。事故や故障が発生した場合、突然のまとまった出費が必要になることがあります。経済的に余裕がない人にとっては、こうした予想外の出費が大きな負担になる可能性があります。
賢くミライースを選ぶコツ
ミライースを選ぶ際には、いくつかのポイントに注意することで、より賢い選択ができます。ここでは、ミライースを選ぶ際のコツをご紹介します。
最適なグレード選び
ミライースには複数のグレードがあります。自分のニーズと予算に合わせて、最適なグレードを選ぶことが重要です。必要以上に高いグレードを選ぶと、コストパフォーマンスが下がってしまう可能性があります。
中古車選びのポイント
中古のミライースを選ぶ場合は、走行距離や車両の状態、整備記録などをしっかりと確認することが大切です。信頼できるディーラーや中古車販売店を選び、車両の履歴や状態を十分に調査してから購入しましょう。
カーリースという選択肢
最近では、カーリースという選択肢も人気です。初期費用を抑えられ、定額で車を利用できるため、予算管理がしやすいというメリットがあります。ミライースのようなコンパクトカーは、リース料金も比較的安く設定されていることが多いです。
まとめ:ミライースは「貧乏人の車」ではなく「賢い選択」
ミライースは確かに経済的な車ですが、それは「貧乏人の車」というレッテルを貼るべきものではありません。むしろ、経済性と実用性を両立させた賢い選択肢と言えるでしょう。ライフスタイルや価値観に合わせて車を選ぶことが大切であり、ミライースはそうした選択の結果として多くの人に支持されています。車選びに正解はありません。自分にとって本当に必要な車は何か、よく考えて選択することが重要です。