ランドクルーザー70、通称ランクル70。その頑強なボディと優れた走破性で多くの人を魅了する名車です。しかし、その魅力の裏には「維持費が高すぎて続けられない」という現実が隠れています。年間58万円もの維持費がかかるというランクル70は、本当に一般の人が乗り続けられる車なのでしょうか?
この記事では、ランクル70の維持費の実態や必要な年収、維持費を抑える方法まで、具体的な数字とともに詳しく解説します。ランクル70の購入を検討している方はもちろん、すでに所有していて維持費に悩んでいる方にも役立つ情報をお届けします。
ランクル70の年間維持費はいくらかかるの?
ランクル70を所有する上で最も気になるのは、やはり維持費ではないでしょうか。実際のところ、ランクル70の年間維持費は約58万円と言われています。これは決して安い金額ではありません。
維持費の内訳と実際の金額
ランクル70の維持費を詳しく見ていきましょう。主な内訳は以下の通りです。
費目 | 年間費用 | 備考 |
---|---|---|
燃料代 | 31万8,720円 | 月1,000km走行、燃費6km/L、軽油160円/Lで計算 |
自動車税 | 1万7,600円 | 3ナンバー登録の場合 |
任意保険 | 10万9,368円 | 対人・対物保険の基本プラン |
メンテナンス費 | 2万6,000円 | 定期点検や消耗品交換 |
車検代 | 10万7,600円 | 2年ごとの費用を年換算 |
合計 | 57万9,288円 | 約58万円 |
この金額はあくまで基本的な維持費であり、駐車場代やローン返済、突発的な故障修理などは含まれていません。実際にはこれよりも高額になる可能性が高いでしょう。
燃費の悪さが家計を直撃する理由
ランクル70の維持費の中で最も大きな割合を占めるのが燃料代です。ディーゼルエンジンを搭載しているにもかかわらず、実燃費は約6km/Lと非常に悪いのが特徴です。
なぜこれほど燃費が悪いのでしょうか。それは、ランクル70が悪路走行に特化して作られた車だからです。車両重量は2,000kgを超え、搭載されているエンジンも重くて頑丈。オフロード走行用であるがゆえに、燃費を犠牲にしているのです。
月に1,000kmの走行で年間約32万円もの燃料代がかかるというのは、家計にとって大きな負担となります。特に最近の燃料価格高騰を考えると、さらに費用が膨らむ可能性もあるでしょう。
税金・保険料・車検代の具体的な費用
燃料代以外の維持費も見ていきましょう。
自動車税は、3ナンバー登録の場合で年間約1万7,600円です。ただし、排気量によって税額が変わるため、新型モデルでは年間約5万円になることもあります。
任意保険料は、基本的な対人・対物保険で年間約11万円。車両保険をつけるとさらに高額になります。ランクル70は車両価格が高いため、保険料も高めに設定されています。
車検費用は2年に一度ですが、年換算すると約10万8,000円。1ナンバー登録の場合は2年目以降毎年車検が必要となり、さらに費用がかさみます。
メンテナンス費用は年間約2万6,000円ですが、これは最低限の定期点検や消耗品交換の費用です。実際には、ディーゼルエンジン特有のメンテナンスや、悪路走行による消耗が激しいため、もっと高額になることが多いでしょう。
ランクル70を維持するには年収いくら必要?
ランクル70の維持費が年間約58万円とわかったところで、次に気になるのは「どれくらいの年収があれば維持できるのか」という点です。
年収600万円が最低ラインといわれる理由
一般的に、車の維持費は年収の10~15%程度に抑えるのが望ましいとされています。ランクル70の年間維持費が約58万円であることを考えると、最低でも年収600万円は必要という計算になります。
これはあくまで維持費だけの話であり、車両購入費用は含まれていません。ランクル70の新車価格は480万円前後からとなっており、これをローンで購入する場合は、さらに返済額が上乗せされます。
例えば、480万円を7年ローンで購入した場合、年間の返済額は約72万円。維持費と合わせると年間約130万円の出費となります。これを年収の15%以内に抑えるなら、年収870万円以上が必要という計算になるのです。
維持費は年収の何%が適切?
車の維持費は、一般的に年収の10~15%以内に抑えるのが理想的とされています。これを超えると家計を圧迫し、他の生活費や貯蓄に影響が出る可能性があります。
ランクル70の場合、年間維持費約58万円を年収の10%とすると、年収580万円が必要です。15%まで許容するなら、年収387万円程度でも維持は可能かもしれません。
しかし、これはあくまで維持費だけの話。車両購入費用やローン返済、駐車場代、突発的な修理費などを考慮すると、実際にはもっと高い年収が必要になるでしょう。
余裕を持った維持のための収入目安
ランクル70を余裕を持って維持するためには、年収800万円以上あることが望ましいでしょう。これくらいの収入があれば、維持費や車両購入費用を支払っても、他の生活費や貯蓄に大きな影響は出ないはずです。
もちろん、これは一般的な目安であり、家族構成や住居費、その他の固定費によって変わってきます。単身者で固定費が少ない場合は、もう少し低い年収でも維持できるかもしれません。逆に、家族が多く住宅ローンなどの固定費が高い場合は、もっと高い年収が必要になるでしょう。
いずれにせよ、ランクル70の維持には相応の収入が必要であることは間違いありません。購入を検討する際は、自分の収入と照らし合わせて、無理なく維持できるかどうかをしっかり考えることが大切です。
ランクル70が維持できないと感じる3つの理由
ランクル70の維持が難しいと感じる理由は、単に維持費が高いということだけではありません。ここでは、多くのオーナーが直面する3つの大きな理由について詳しく見ていきましょう。
高額な燃料費と悪路走行による消耗
先ほども触れましたが、ランクル70の燃費は実質6km/L程度と非常に悪いのが特徴です。月に1,000km走行するだけで、年間約32万円もの燃料費がかかります。
さらに、ランクル70の真価を発揮するのは悪路や未舗装路での走行時。しかし、そういった環境で走ると、タイヤやサスペンションなどの消耗が激しくなります。タイヤ交換やサスペンションのメンテナンスは決して安くなく、年間の維持費をさらに押し上げる要因となるのです。
例えば、オフロード用のタイヤは1本あたり2~3万円。4本交換すると8~12万円かかります。これが2~3年に一度必要になると考えると、年間で3~6万円の追加費用が発生することになります。
メンテナンス費用が予想以上にかかる
ランクル70はシンプルな構造で壊れにくいと言われていますが、それでも定期的なメンテナンスは欠かせません。特にディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べてオイル交換などのメンテナンス頻度が高く、費用もかさみます。
ディーゼルエンジンのオイル交換は5,000km走行ごとに推奨されており、1回あたり1万円程度。年間1万km走行する場合、2回のオイル交換で2万円の費用がかかります。
また、新型モデルでは排気ガスを浄化するためのアドブルー(尿素水)の補充も必要です。これは年間1~2万円程度の追加費用となります。
こうしたメンテナンス費用は、購入時にはあまり意識されないことが多く、所有してから「思ったより維持費がかかる」と感じる原因となっています。
修理部品の入手困難と高額な修理費
ランクル70は世界中で愛されている車ですが、日本国内での販売台数は限られています。そのため、修理部品の入手が難しく、入手できても高額になることが少なくありません。
特に古いモデルになると、純正部品の生産が終了していることもあり、中古部品を探すか、高額な互換部品を使用するしかない場合もあります。
例えば、エンジンやトランスミッションなどの主要部品に不具合が生じた場合、修理費用は数十万円から数百万円に達することもあります。こうした突発的な高額修理が発生すると、年間の維持費は一気に跳ね上がってしまうのです。
また、専門的な知識を持った整備工場も限られており、修理に時間がかかることも少なくありません。これも、ランクル70の維持を難しくしている要因の一つと言えるでしょう。
ランクル70の維持費を少しでも抑える方法
ランクル70の維持費は確かに高いですが、工夫次第である程度抑えることも可能です。ここでは、維持費を少しでも抑えるための具体的な方法をご紹介します。
保険の見直しでコスト削減
任意保険は、ランクル70の維持費の中でも大きな割合を占めています。この保険料を見直すことで、年間数万円の節約が可能です。
まず、車両保険の必要性を検討してみましょう。ランクル70は車両価格が高いため、車両保険をつけると保険料も高額になります。車両保険は、事故で自分の車が壊れた場合の修理費をカバーするものですが、慎重な運転を心がけている方や、駐車場所が安全な場所にある方は、車両保険を外すことも選択肢の一つです。
また、複数の保険会社から見積もりを取り、比較検討することも大切です。同じ補償内容でも、保険会社によって保険料は異なります。インターネット割引や無事故割引などの特典も活用しましょう。
例えば、対人・対物保険のみにして車両保険を外すと、年間の保険料を5~7万円程度削減できる可能性があります。
定期メンテナンスで大きな故障を防ぐ
ランクル70は頑丈な車ですが、適切なメンテナンスを怠ると大きな故障につながり、結果的に高額な修理費が発生してしまいます。定期的なメンテナンスを行うことで、大きな故障を未然に防ぎ、長期的には維持費を抑えることができます。
特に重要なのは、エンジンオイルの定期交換です。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりもオイル交換の頻度が高く、5,000km走行ごとの交換が推奨されています。これを守ることで、エンジンの寿命を延ばし、大きな故障を防ぐことができます。
また、エアフィルターやフューエルフィルターなどのフィルター類も定期的に交換しましょう。これらが目詰まりすると、燃費の悪化や出力低下、最悪の場合はエンジン故障の原因となります。
ディーラーでのメンテナンスは高額になりがちですが、信頼できる整備工場を見つけることで、コストを抑えつつ適切なメンテナンスを受けることができます。
燃費を良くする運転テクニック
ランクル70の維持費の中で最も大きな割合を占めるのが燃料費です。燃費を少しでも良くする運転を心がけることで、年間数万円の節約につながります。
まず、急発進や急加速を避け、一定速度での走行を心がけましょう。特に市街地では、信号待ちなどでエンジンを切る「アイドリングストップ」も効果的です。
高速道路では、速度を抑えめに設定することで燃費が向上します。一般的に、80~90km/hでの走行が最も燃費が良いとされています。
また、不要な荷物を積まないことも大切です。車の重量が増えると、それだけ燃費は悪化します。トランクやルーフキャリアに不要な荷物を積んだままにしていないか、定期的にチェックしましょう。
タイヤの空気圧も燃費に影響します。適正な空気圧を維持することで、転がり抵抗が減少し、燃費が向上します。月に一度は空気圧をチェックする習慣をつけましょう。
これらの工夫を組み合わせることで、燃費を10~15%程度改善できると言われています。年間の燃料費が32万円だとすると、3~5万円の節約につながる計算です。
ランクル70を諦めきれない人の選択肢
ランクル70の維持費の高さを知っても、その魅力に惹かれて諦めきれない方も多いでしょう。ここでは、ランクル70を手に入れる別の選択肢をご紹介します。
中古車市場での狙い目モデル
新車のランクル70は価格も高く、納期も長いことが多いですが、中古車市場には比較的手頃な価格で購入できるモデルもあります。
特に狙い目なのは、2014年に再販された70系です。これらは現行モデルと比べると装備や安全性能は劣りますが、基本的な性能や走破性は変わりません。価格も300~500万円程度で見つかることが多く、新車より100~200万円ほど安く購入できる可能性があります。
ただし、中古車の場合は状態をしっかりチェックすることが重要です。特にオフロード走行歴のある車は、足回りやフレームにダメージを受けていることがあります。購入前には必ず専門家による点検を受けることをおすすめします。
また、中古車は年式が古いほど自動車税や重量税が高くなる「経年重課」の対象となることがあります。購入前に税金面でのデメリットも確認しておきましょう。
カーリースやサブスクという選択
最近注目されているのが、カーリースやサブスクリプションサービスです。これらは車を「所有」するのではなく「利用」するサービスで、初期費用を抑えつつランクル70に乗ることができます。
カーリースの場合、月々の定額料金で車を利用でき、契約期間終了後は返却するか、残価を支払って所有することができます。メンテナンス費用や税金、保険料などが含まれているため、維持費の心配をせずに済むのが大きなメリットです。
例えば、トヨタのKINTOでは、ランクル70を月々45,760円から利用できるプランが提供されています。これは7年契約で、ボーナス月に165,000円を加算する場合の料金です。初期費用フリープランなら、まとまった資金を用意する必要もありません。
サブスクリプションサービスでは、自動車保険や自動車税、メンテナンスなどのカーライフにかかる諸費用が月々の定額料金に含まれているため、突発的な出費に悩まされることがありません。オンラインでお見積もりから契約までの手続きができ、契約満了時には返却するだけという手軽さも魅力です。
ただし、カーリースやサブスクリプションサービスは「所有」ではなく「利用」するサービスであるため、車に改造を加えたり、長期間にわたって愛車として大切にしたいという方には向いていない場合もあります。自分のライフスタイルや価値観に合わせて検討することが大切です。
ランクル70の代わりになる車種たち
ランクル70の魅力に惹かれつつも、維持費の高さに躊躇している方には、代替となる車種も検討してみる価値があります。
まず挙げられるのは、同じトヨタのランドクルーザープラドです。プラドはランクル70と比べると若干オンロード寄りの設計ですが、オフロード性能も十分に高く、維持費はランクル70より抑えられます。特に燃費面では大きな差があり、家計への負担を軽減できるでしょう。
また、日産のパトロールやスズキのジムニーも、オフロード性能を重視する方にとっては選択肢となります。特にジムニーは、コンパクトながら本格的な四輪駆動システムを備え、維持費も比較的安価です。ただし、室内空間や積載量ではランクル70に及ばない点は考慮する必要があります。
さらに、最近では電動SUVも選択肢として増えてきています。初期投資は高いものの、燃料費や税金面で優遇されるため、長期的には維持費を抑えられる可能性があります。ただし、オフロード性能や耐久性については、ランクル70のような伝統的なオフローダーには及ばない面もあります。
どの車種を選ぶにせよ、自分のライフスタイルや使用目的、予算に合わせて検討することが大切です。ランクル70の魅力は他の車種では代替できない部分もありますが、維持費と相談しながら最適な選択をすることが、長く愛車と付き合っていくためのポイントとなるでしょう。
まとめ
ランクル70は確かに維持費が高く、年間約58万円もの費用がかかります。燃費の悪さや高額なメンテナンス費用、修理部品の入手困難さなど、維持を難しくする要因はいくつもあります。
年収600万円以上あることが望ましいとされるランクル70の維持ですが、保険の見直しや定期メンテナンス、燃費を良くする運転テクニックなどで、ある程度費用を抑えることも可能です。
また、中古車市場での購入やカーリース、サブスクリプションサービスの利用など、初期費用を抑えつつランクル70に乗る方法もあります。自分の経済状況やライフスタイルに合わせて、最適な選択をすることが大切です。
ランクル70は決して誰もが気軽に維持できる車ではありませんが、その魅力を理解し、計画的に付き合っていくことで、長く愛車として楽しむことができるでしょう。